
Marginal Studio
- 室内経験
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飯島暉子の個展「室内経験」がMarginal Studio(文華連邦)で開催される。キュレーションは中本憲利。
飯島は、ナント美術学校(フランス)への留学を経て、2021年春に東京藝術大学大学院(油画)の修士課程を修了。これまで、人間とその身体を、植物、ピンポン玉、ほこりなど、この世界に存在する他の諸事物と等位な「もの」と捉え、無数の(無)関係を支配の側面から探ってきた。今年1月に開かれた修了展では、〈ものとしての身体〉が重力にしたがって世界の諸事物と接地することの暴力性に着眼した。
本展の起点となるのは、かつて民家として使われた展示空間の場所性である。作家は、台所・居間・ホワイトキューブからなる特徴的な空間に滞在することを通して展示プランを作る。実際の制作は、室内のいくつかの細部を、掃除・整理などの家政的な所作によってひそやかに改変するプロセスとなる。その結果として提示される「作品」は、鈍麻した知覚ではとり逃してしまうような「もの」の特質を可視化する、パフォーマンスの残滓と言えるだろう。
ここにおいて「室内経験」とは、「もの」と接地しつつも、「もの」と必ずしも接触できない、飯島のていねいな身振りそのものでもある。つまり、われわれはふつう、「もの」を道具のごとく自在に扱えると思い込んでいるが、その実、「もの」はひとを相手にすることなく、みずからの本質を隠しおおせるのだ。
本展は、一度に滞在可能な鑑賞者を1時間あたり1組(3名まで)に制限する予約制。美学者の伊藤亜紗(東京工業大学准教授)を交えたギャラリートークを収録し、会期中にウェブサイトで公開。会期後は図録の発行を予定し、ウェブサイトや会場で事前予約を受け付ける。
飯島暉子 Just light, just sound 2021 ©Hiromasa Iwasaki 飯島暉子 ドアストッパー 2021 ©Hiromasa Iwasaki [Information]
室内経験
会期 2021年5月21日~23日、28日~30日
会場 Marginal Studio
住所 東京都墨田区文花1-12-10 文華連邦
開館時間 14:00-20:00 ※予約制。Peatixサイト:https://adwelling-reservation.peatix.com/
休館日 月、火、水、木
観覧料 500円
アクセス 押上駅から徒歩15分
[Event]
① ギャラリートーク「身体の室内経験」
登壇者:伊藤亜紗(美学者・東京工業大学准教授)×作家×キュレーター
ウェブサイトにて、会期中に公開予定。展覧会図録に全編収録。
② 展覧会図録
展示写真、作家&キュレーターの論考、寄稿(岩田奎ほか)、翻訳論文などを掲載。
ウェブサイトおよび会場にて、事前予約を受付予定(7月上旬頃発行)。
[Artist/Curator]
作家 飯島暉子(いいじま・あきこ)
1994年、神奈川県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。過去の参加展に「De la Nature des Choses」(Muséum d’histoire naturelle・ナント、2019年)など。本展が初個展となる。
キュレーター 中本憲利(なかもと・けんと)
1999年、東京都生まれ。東京大学文学部哲学専修在学中。展覧会企画に「ex\on」(dragged out studio、2020年)、「Welcome, Stranger, to this Place」(東京藝術大学美術館陳列館、2021年、共同企画)など。